あなたのもらう国の年金の運用から学ぶ(1)


あなたが将来もらう年金の資産を運用しているのは、GPIFという国の機関です。
GPIFはジーピフとかジーピーアイエフとか読みます。
年金積立金管理運用独立行政法人の英語の略です。
あなたが安定した年金をもらえるかどうかは、ここの運用がうまくいくかどうかにかかっています。
だから、しっかりチェックしておく必要があります。

今回は、そのチェックという意味合いよりも、あなたの資産運用にこのプロの手法や情報が活かせないかという観点でGPIFの運用の中身を分析していきましょう。

ネット時代というのは本当に便利です。
GPIFは平成26年10月31日に大きなポートフォリオの変更を行いました。
その趣旨をGPIFの運用委員長自らが語っている講演の記録(※1)を読むことができます。

このポートフォリオ変更の意図やその中身を分析することで、プロのポートフォリオ構築の要諦を実践的に学ぶことができます。

さあ、一気に加速して成層圏を突破しましょう。

大きなポートフォリオの変更とは、
資産の構成割合を債券中心から株式中心に変えたという点です。

国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 短期資産
資産構成割合 60% 12% 11% 12% 5%
乖離許容幅 ±8% ±6% ±5% ±5%

⇓⇓⇓

国内債券 国内株式 外国債券 外国株式 短期資産
資産構成割合 35% 25% 15% 25%
乖離許容幅 ±10% ±9% ±4% ±8%

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GPIFの運用委員長、米澤康博氏の語るポートフォリオ変更の3つの要因とは?

1.「20年強のタイムスパンで見て、金利上昇シナリオを採用」
2.「ポートフォリオをつくるときはもう少しフォワードルッキングで考えなければならない」
3.「より年金財政と整合的な形でリスク許容度が決められた。」

それぞれの意味です。

1.政府は政策目標として2%のインフレ目標を掲げている。
うまくいけばそうなり、そうなると名目金利は上がらざるを得ない。
すると、国内債券のクーポンは上がる。
これ自体は運用主体にとってうれしいこと。
しかし、これは金利が上がった後の話。
金利が上昇する過程では保有している債券の価格が下がるので、キャピタルロスが生じる。
これは避けたい。
以上より他の資産に比べ、国内債券は相対的に劣後する。

2.将来の金利上昇などを想定してポートフォリオを策定するということ。
その想定の仕方は、将来のある一時点ではなく、過程も考慮する。

3.年金額は賃金上昇にスライドして決められる。
賃金上昇率と同じリターンが上がれば何とか年金財政が維持できる。
よって、リターンが賃金上昇率を追いかけていくことが目標になる。
今回、厚労省から新ポートフォリオでのリターンの命題を与えられた。
賃金上昇率+1.7%を確保してほしい、ということである。
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さて、このGPIFのポートフォリオ変更から何を学べるでしょうか。

1.金利リスクには注意が必要。債券、特に国内債券の金利リスクは大きいので注意が必要。

2.将来の経済金融情勢を見越したうえで資産クラス(国内株式、国内債券、外国株式、外国債券)別の期待利回りを設定する必要がある。
でも、これは自分では難しいのでGPIFなどの設定している数字を使うことになるでしょう。

3.将来のお金の必要時期や必要金額をしっかり把握したうえで、耐えられるリスクを設定し、そのリスクの範囲内で最大のリターンを取ることのできるポートフォリオを策定する。

こんなことが学べると思います。

では、
新ポートフォリオのリスク(標準偏差)はどのように決めたのでしょうか?

「運用目標(名目賃金上昇率+1.7%)を満たしつつ、その一方で、下方確率が全額国内債券運用の場合を下回り、かつ、条件付平均不足率が最も小さいポートフォリオを選定した」とあります。
ちょっと難しいですが、主旨は今までの運用に比べてあまりにも大きなリスクにならないよう配慮したということです。
ここで注目してほしいのは、そのポートフォリオの選定にあたって「有効フロンティア」の理論を使っているという点です。

与えられたリスク許容度の範囲内でなるべく高いリターン得られるポートフォリオをこの理論を使って探し出したという点です。
次は、具体的なポートフォリオの作成の過程を見ていきましょう。

まずはその前提となる資産クラス別の期待リターン、リスク、相関係数の設定についてです。

続きは次回。

お楽しみに!

 

 

※1
「GPIFの運用、およびガバナンス改革」米澤康博
http://www.jsri.or.jp/publish/review/pdf/5505/01a.pdf

上記講演に使われた資料
http://www.jsri.or.jp/publish/review/pdf/5505/01b.pdf

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