投資では「複利」「長期」「分散」が本当に重要なのか?(3)


貯蓄の時代から投資の時代に転換しようとしている現代。
「複利」「長期」についての今までの常識は、非常識になってしまいました。

このシリーズの第1回、第2回では、投資において「複利」「長期」が本当に重要なのかを検証してきました。

シミュレーションでわかるように、期待リターンでの複利運用結果になる確率は50%にも程遠い結果となりました。
また、短期に比べて長期での運用の方がリスクを低くしないと一番起こりそうな運用結果は元本割れし、元本割れの確率も高くなる結果となりました。

しかし、リスクを適切にコントロール(低く)すれば、元本割れの確率を大幅に下げることができ、一番起こりそうな運用結果も引き上げることができるということもわかりました。

 

以上の結果から、
「複利」についていままで言われていた「複利って凄い」というのは「利益再投資が重要」と言い換え、「長期」については「長期投資ほどリスクは低くなる」というのは「長期投資ほどリスクは高くなるが、リスクをうまくコントロールすれば短期投資より投資成果を高められる」といえるのではないかというお話をしてきました。

確定利率でそこそこの利回りが確保できた時代には、確定利率の貯蓄を前提に複利運用の凄さや長期投資の有利さを伝えることができました。
しかし、確定利率の貯蓄では増やせなくなった現在、価格の上下する投資商品を前提にする必要が出てきました。
今までの常識を新たな常識に転換しなければならなくなってきています。

 

今回は、これらのシミュレーションをより具体的に視覚的なイメージでとらえてみたいと思います。

しかし、その前にどうしても知っておかなければならない前提知識について簡単に触れておきたいと思います。
ちょっとややこしいのですが、これを知らないとすべてを間違えて理解することになります。
大変残念なことですが、専門書以外の多くの投資本やネット上の情報ではこの点についての誤解があるために長期投資の成果について大きな誤った情報があふれています。

まず、すべての前提はこれです。

現代ポートフォリオ理論は、大部分において、資産収益率の分布を正規分布と仮定している。・・・・
個別の株式の収益率が正規分布するという仮定には理論的反対がある。それは、株価が負の値をとることがないことを考えると、正規分布が保有期間収益率を典型的に示す分布となり得ないというものである。
・・・・
これに代替する仮定は、連続複利年率の収益率が正規分布するというものである。
・・・・
この仮定は、負の価格という問題含みの可能性をうまく除去し、正規分布を適用できるという利点を持つことになる。
・・・・
短期の保有期間、つまりtが小さな値のとき、(数式略)正規分布は、対数正規分布の良い近似となる。

「証券投資(上)」ツヴィ・ボディ他 P191,192

 

ポイントは、「連続複利年率の収益率が正規分布する」というところです。
そして、更にこのことから「投資成果(金額、リターン)」は対数正規分布するということが重要です。

ここで、「連続複利年率の収益率」(連続複利収益率)という聞きなれない言葉が出てきました。
知らなくてもいいのですが、気になると思いますので簡単にご説明しておきます。

連続複利」というのは、1秒の利息でも正確に計算できる計算方法のことです。

定期預金の金利が年利10%だとしましょう。
この時に、1秒間だけ預ける場合の金利はいくらでしょうか?
この計算をする方法です。

まず、半年預けた場合はどうでしょうか?
5%?

いや、違うのです。
1年だと10,000円×110%=11,000円ですね。

では、
まず半年で10,000円×105%=10,500円とすると
更に半年で10,500円×105%=11,025円

複利で増えているのでこうなってしまいます。
11,025円でなくて11,000円にするためには5%でなくて何パーセントなのか?
答えは約4.880%です。

更に3か月の場合は何パーセント?
1か月なら?
1日なら?
1秒なら?

これを計算する方法が連続複利という考え方です。
細かく説明するとLogとかが出てきますので、ここでは省略します。

 

さあ、ここから本題に戻ります。

投資関係の本でよく見るこの図。
連続複利収益率の分布図として、これは正しいです。

2016-08-16 (1)

 

しかし、そこに投資成果(リターン、金額)をくわえたこの図は正確に言うと間違っています。

2016-08-14 (1)

 

破線で×を付けた部分が間違っています。

2016-08-16

 

しかし、1年程度の短い期間では正しい図とそんなに大きな違いはないのでこれで説明しても大丈夫だと思います。
但し、本当は正確に言うと違うのだということをしっかり認識しておかないと、長期投資の場合について大きな間違いを犯してしまうことになります。

 

投資成果(金額、リターン)の分布は、本当はこんなふうになります。

2016-08-16 (6)

 

 

ちょっと長くなったので、続きは次回に。

お楽しみに!!!

 

 

【参考サイト】
この分野に関しては、すばらしい先人の研究があります。
正確ながらもわかりやすいという点でこれらの先人の研究を超えられるかが、今回の私の挑戦です。

<ファンドの海>
連続複利に関して
http://www.fund-no-umi.com/blog/2009/03/11-7c91.html

リスク資産の複利確率について
http://www.fund-no-umi.com/blog/2009/08/27-bc8a.html