投資では「複利」「長期」「分散」が本当に重要なのか?(2)


投資を薦められる時に、「複利効果って凄いんです」といってうなぎ上りのグラフを見せられることがあると思います。
確定利率の商品についてはそのとおりなのでしょうが、価格の上下する投資商品についても同じことがいえるのでしょうか?
今回はこれを中心に検証してみます。

2016-08-14

 

その前にまず、第1回で検証した「長期投資ほどリスクは低くなる」のか、でシミュレーションした下記の表の数値の分析についてです。

【前提条件】
投資金額     :100万円
投資期間     :1年間と30年間
期待リターン   :5%
標準偏差(リスク):15%と30%

標準
偏差

15% 30% 複利運用
結果
投資
期間

一番起こり
そうな
運用結果

期待リターンでの複利運用結果の
確率
元本割れの
確率
一番起こり
そうな
運用結果
期待リターンでの複利運用結果の
確率
元本割れの
確率
1年 101.9万円
(年率1.9%)
47.2% 39.3% 93.3万円
(年率▲6.7%)
44.4% 48.6% 105万円
30年 174.1万円
(年率1.9%)
34.9% 6.8% 12.6万円
(年率▲6.7%)
22.1% 42.6% 432.2万円

 

表の右側の標準偏差(リスク)30%の欄をご覧ください。
投資期間1年の場合と30年の場合を比較します。
一番確率の高い、一番起こりそうな運用結果の欄をご覧ください。
どちらも同じ年率▲6.7%ですが、投資成果(金額)では、1年の場合では93.3万円なのに対して30年の場合では12.6万円となっています。
短期では若干の元本割れの確率が高いのですが、長期ではなんと100万円が12.6万円になってしまう確率が一番高いのです。

いかがでしょうか。
この結果について、「長期投資ほどリスクは低くなる」という評価を下すことはできるでしょうか?
さて、今回のテーマである価格の上下する投資商品についても「複利効果って凄いんです」は本当なのかを検証してみましょう。

表のとおり、期待リターン5%で複利運用できたとした場合1年では105万円になりますが、その確率は44.4%です。
これに対して30年では432.2万円になりますが、その確率は22.1%です。
つまり、期待リターンでの複利運用結果となる確率は、短期より長期の方が低いのです。
しかもこの場合、その結果になる確率はたったの2割程度なのです。

この結果について、投資商品についても「複利効果って凄いんです」といえるのでしょうか?

 

更に、元本割れの確率を見てみます。
1年の場合は元本割れの確率が48.6%、30年の場合は42.6%です。
30年の場合の方が若干低いですね。
しかし、長期の面目躍如とまではいえそうもありません。

さて、ここまで読むと長期投資って魅力なさそうと思われるかもしれません。
しかし、・・・・・・

今までは右側の標準偏差(リスク)30%の欄を見てきました。
今度は左側の標準偏差15%の欄を見てみましょう。
リスクをうまくコントロールして下げた場合という設定です。

一番確率の高い、一番起こりそうな運用結果は1年が101.9万円なのに対して30年では174.1万円になっています。
更に、元本割れの確率は1年の場合39.3%であるのに対して30年ではたったの6.8%に下がっています。
期待リターンでの複利運用結果になる確率は1年47.2%なのに対して30年では34.9%。
これは長期の方が負けています。
しかし、一番起こりそうな結果と元本割れの確率についての長期のメリットも総合的に考えると短期よりも長期の方がメリットがあるといえないでしょうか?

 

今度は、この表全体を評価してみましょう。

  • リスクを低くしても期待リターンでの複利運用結果になる確率は、短期より長期の方が低い(悪い)。

➡しかし、リスクをうまくコントロール(低く)すれば、確率を高めることはできる。

  • 一番起こりそうな運用結果については、リスクが高いと短期より長期の方がかなり悪い。

➡しかし、リスクをうまくコントロール(低く)すれば短期より長期の方をよくできる。

  • 元本割れの確率については、リスクが高い場合は短期よりも長期の方が若干よい程度で、水準は非常に高く長期のメリットはあまりない。

➡しかし、リスクをうまくコントロール(低く)すれば、短期に比べて長期の方がかなりかなり低く抑える(よくする)ことができる。

 

さて、今回のテーマである投資商品についても「複利効果って凄いんです」といえるのでしょうか、についてまとめてみましょう。

期待リターンでの複利運用結果になる確率が5割を割るような状況で「複利効果って凄いんです」というのは、ちょっと無理がありそうです。

しかしながら、このことが長期投資にメリットがないということを意味しているわけではありません。
リスクを適切にコントロール(低く)すれば、長期投資には大きなメリットがあるのです。
長期投資では、リスクの適切なコントロールが投資成果を高めるための大きな鍵を握っているといえます。

 

もう一つ重要なことがあります。
長期投資で利益(配当等)の再投資をしないと、損失が積りに積もって元本がどんどん減っていってしまうことになります。

投資商品については、「複利効果って凄いんです」ではなく、「利益の再投資が重要なんです」というのが適切だと考えます。

 

 

次回は、グラフを使って視覚的に分析してみましょう。

お楽しみに!!!