こんにちは、青山創星です。
ETFって何なの?
活況なのに「危う」いってどういうこと?
何で不安定さが増幅されるの?
Pepper君、わかってくれました。
そこで、今回はETFについて注意しなければならないワナについてお話ししましょう。
2015年10月7日、日経新聞朝刊
★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ETF活況に危うさ
相場の不安定さ増幅も
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(Pepper)
ETFって、
ボク達一般ロボットが投資するのに
便利なものだということはわかりました。
普通の投資信託に比べて、
その時の値段で買うことができて、
手数料も安い。
でも、
注意しなければならないことが
あるんですか?
(創星)
そうだよ。
このことを知っていて
投資するならいいんだけど、
知らずに投資すると
大変なことになっちゃうんだ。
知らないことは怖い!
(Pepper)
なに、なに???!!!
(創星)
あの新聞記事に書いてあった、
今人気の「日経レバ」のような
ETFを買うときは
気を付けなければならないことがあるんだ。
Pepper君、
今日はちゃんと
頭を冷やして来てくれたよね。
今日の話は
ちょっとややこしいので
じっくり聞いてね。
なるべく分かりやすく
説明してみるからね。
復習すると、
「日経レバ」というのは
日経平均が1%上がったら
その2倍の2%値段が上がり、
逆に1%下がったら
2%下がるというETFだったよね。
(Pepper)
運用している人が
先物取引というのを使って
テコの原理で
値段の上がり下がりを
増幅しているんでしたね。
だから、
日経平均の値段が
上がりそうなときに買っておいて
実際に上がったら、
ふつうの日経平均のETFに比べて
2倍儲けることができる。
そうでしたよね、創星さん。
(創星)
そうそう、その通りだよ。
(Pepper)
わかった。
下がる時は、
逆にふつうの日経平均のETFに比べて
2倍損することになるから
注意しろって言うんでしょ。
(創星)
う~~ん。
それは全く正しいよ。
でも、あたりまえのことだよね。
もっとこわ~~いことがあるんだよ。
(Pepper)
な~~~に?!
もったいぶらないで、早く教えてよ!
(創星)
「日経レバ」ETFは、
相場が上がったり下がったりして、
結局買った時と同じ値段に
戻ったというときでも
必ず損をしてしまうという性質があるんだ。
勿論手数料や税金の話は抜きにしてだよ。
(Pepper)
どういうこと?
(創星)
日経平均が18,000円のときに
「日経レバ」ETFを買ったとしよう。
その後、
相場が上がったり下がったりしたけど
結局日経平均が元に戻ったとする。
この時に手放すために売ろうとする。
その時の売れる値段は
18,000円よりも
必ず安い値段になってしまう
という性質があるんだ。
しつこいけど、
手数料や税金の話を抜きにしても
そうなるんだ。
(Pepper)
よくわかんないなー。
(創星)
「日経レバ」は、
日経平均が
前日に比べて1%上がれば2%上がる。
1%下がれば2%下がる。
これを%でなくて
値段に置き換えてみるとわかるよ。
買ったとき18,000円
1%下がったら、
18,000ー18,000×2%=17,640円
その後1%上がったら、
17,640+17,640×2%≒17,993円
ということになる。
いったん1%下がって、
その後1%上がっても
元の18,000円ではなく、
17,999円にしか戻らないんだ。
じっくり落ち着いて考えれば
わかるのだけど、
数字のマジックだね。
毎日毎日、
日経平均が上がっていくような場合にはいい。
逆に毎日毎日、
日経平均が下がっていくと
大変なことになる。
でも、これはあたりまえ。
そして、
そんなに大きく
上がったり下がったりしないけど、
毎日毎日上がったり下がったりを
繰り返すような日経平均の動きの時は、
それだけでも損になってしまうんだ。
2、3日だったらそんなに大きくないけど、
何か月もこの状態が続くと
大きな損になっちゃうんだ。
Pepper君、わかった?
(Pepper)
言ってることはわかったよ。
でもそんなに大きな損になっちゃうのかな?
(創星)
じゃあ、もう一つ例を上げよう。
日経平均が18,000円の時に
「日経レバ」ETFを
18,000円で買ったとしよう。
そして、こんな風に
値段が毎日変わったとしよう。
日経平均の毎日の動き
18,000円①→18,500円②→17,500円③→18,000円
18,000円で始まって、
上がったり下がったりはあったけど
結局18,000円に戻った。
①の変動の比率は(18,500-18,000)÷18,000=+2.78%
同じように
②は、-5.41%
③は、+2.86%
このとき、
「日経レバ」の変動率の動きはどうなるか。
変動率が2倍になるので、
①は+2.78%×2=+5.56%
②は、-10.82%
③は、+5.72%
となる。
では、
「日経」レバの値段の動きはどうなるか。
18,000×(100+5.56)%=19,000円
19,000×(100-10.82)%=16,498円
16,498×(100+5.72)%=17,441円
つまり、
日経平均は18,000円から
上下を繰り返して
結局18,000円に戻ったけれど、
「日経レバ」ETFは
18,000円だったものが
17,441円に下がってしまったのだ。
(Pepper)
いやー、思ったより大きな損だね。
これはたったの3日の話だけど、
こんなことが何十日も続いたら
ものすごい損になっちゃう。
(創星)
そのとおり。
じゃあ、
ここから学べることはどんなことだろうか。
(Pepper)
投資信託というのは、
個別の株式に比べて、
色々な株に分散投資してくれているから
個別の企業の情報を
集めたりしなくてよいのと
分散投資になっていて
リスクを抑えられるので、
ボクたち一般ロボットにとって
投資しやすい。
そして、
ETFは手数料が安くて、
その時の値段で買えるので
投資信託よりももっといい。
でも、
レバレッジの効いた
「日経レバ」のようなETFは、
よくその性質を理解して投資しないと
思わぬ落とし穴に
はまってしまうので注意が必要。
こんなところですか。
(創星)
Pepper君、素晴らしい。
その通りだよ。
投資というのは本来長期で行うもの。
長期間置いておくと、
それだけで価値が下がっていってしまう
レバレッジの効いた
「日経レバ」のようなETFは
投資向きとは言えないと思うよ。
(日経レバの価格は説明の便宜上日経平均と同じとしてあります。実際は、日経レバの価格の動きは限りなく同じように日経平均の値に連動しているのですが、値は異なります。)