値動きのある投資商品で投資した場合、1年後の投資成果の分布と30年後の投資成果の分布は全く異なります。
これをしっかり理解していないと、30年後に期待していた金額とはかけ離れた結果(低い金額)になってがっかりすることになりかねません。
投資の場合、「長期ほどリスクは高くなる」のですが、リスクをうまくコントロール(低く)すれば短期投資より投資成果を高められます。
つまり、投資において時間は決定的に重要です。
そして、その時間は取り戻すことができません。
前回は、1年という短期の場合は収益率だけでなく投資結果(金額)もほぼ正規分布に近いので、ちまたでよく見かける図は厳密には間違っているが、イメージをつかむのには問題なさそうだというお話をしました。
今回は30年後のお話です。
30年後の世界は、1年後の世界とは全く異なります。
1年後の投資成果(リターン、金額)の分布は、前回お示ししたように以下のグラフのようになります。
投資元本:100万円
期待リターン:5%
標準偏差(リスク):30%
投資期間:1年
正確には、100万円+収益(期待リターン5%で計算した5万円)=105万円から少し下にずれた93.3万円が最も山の高い(起こりそうな)グラフになります。
よく見るグラフは105万円のところがピークになっていると思います。
でも、そんなに大きな違いはないので、105万円がピークになっている図でもまあいいか、ということです。
では、30年後の投資成果(リターン、金額)の分布はどのようになるのでしょうか?
こんなグラフになります。
投資元本:100万円
期待リターン:5%
標準偏差(リスク):30%
投資期間:1年、30年
黒色の太い破線は、前のグラフで示した赤い破線のグラフと同じ1年後のものです。
30年後は赤の太い実線のようになります。
1年後とは全く異なります。
グラフ上の①②③のところの意味はこういうことです。
①一番起こりそうな運用結果(最頻値)(12.6万円)
②元本額(100万円)(これを割る確率42.6%)
③期待リターン複利で運用できる場合(432.2万円)(確率22.1%)
なんだか、ものすごく悲惨な結果だと思いませんか!!!???
一般的な投資セミナーなどでは1年後の話をされて、30年もたつと全く同じというわけではないだろうけどと思いながらも、それがあたかも30年後にもそのまま適用されるような印象を持ってしまっているのではないでしょうか?
本当の投資のプロの講師以外は、講師自体が1年後と30年後が違うということを理解せずに話している可能性が高いのです。
なぜでしょうか?
ここまで書かれた一般的な投資の本がほとんどないからです。
このグラフも投資の入門的な本には載っていません。
難しい専門書には書かれていますが、近寄りがたくて、読んでもわかりにくいのでここまで理解している人は少ないということだと思います。
念のため、黒い破線の1年の場合のそれぞれの数字を載せておきます。
①一番起こりそうな運用結果(最頻値)(93.3万円)
②元本額(100万円)(これを割る確率48.6%)
③期待リターン複利で運用できる場合(105万円)(確率44.4%)
一番起こりそうな運用結果が、1年の場合93.3万円なのに対して、30年の場合たったの12.6万円というのは衝撃的ですね!!!
これじゃあ、だれも長期投資なんてやらないですよね。
危機一髪!!!
果たして、救われる方法はあるのか???
謎は深まります。
続きは次回に。
お楽しみに!!!